これぞ本物のハロウィン!忘れられない2匹のお化け

そこにいた2匹のお化けは『本物』だった。

5年前の夜20時、玄関のチャイムが鳴った。
出ると、そこには2匹のお化けが立っていた。その日はハロウィン。
和田家も地元子ども会のハロウィンに参加して帰ったところだった。

そこへやってきた2匹のお化け。こども会のハロウィンは1時間前に終わったはず。
「トリックオアトリート!!」2匹のお化けは叫んだ。
その声でわかった。2匹のお化けは近所の小学生男子2人。

「ちょっと待って」
と言って家のお菓子箱から2つ、チョコを取り出して彼らが持っていた袋に入れた。
2匹のお化けは「ありがとう!」と言った。

念のために聞いてみた。
「何のグループで回ってんの?」
「なんもない。じぶんらでかってに」

こども会や地元の自治会でやっているハロウィンは、あらかじめ参加する子どもの人数を把握する。
そして相談や交渉であらかじめ決まっている家やお店を回る。
地域でやってる子どものハロウィンは全てがそうだろう。

ところが、この男子2人は自分たちでハロウィンをやった。
のべつまくなしに家を回ったわけじゃない。
自分たちなりに大丈夫、怒られない、お菓子をくれるだろうという家を選んで回ったのだ。

その一軒に和田家を選んでくれたことは嬉しかった。
それと共に、これこそが本来のハロウィンだと気付いた。
「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」

本物のお化けは形式を破壊する。